Vol 04

    めざせ!
    世界に通用する観光人材

    観光は、世界中の方々がお客様!

    日々、国内外の多くの方々と接することができる観光産業。沖縄県でも、さまざまな言語や文化、習慣、宗教、ライフスタイル等を持つ世界中からのお客様に最前線で対応しております。
    そのため、観光業界で働くことは、語学力やコミュニケーション力、グローバルな視野を深められるなど、自身のスキルや経験の向上にもつながります。
    自己成長を重ねながら働くことや、直接お客様の喜びに触れることができる観光産業の魅力を知ってもらうため、様々な世代でのキャリア教育に沖縄県や観光業界関係者は力を入れています。

    今回の「沖縄観光みらい新聞」のテーマは、人材育成と自己成長。観光産業で“働く”にフォーカスして、沖縄観光の未来を明るく照らす人々や沖縄県の施策を紹介していきます!

    産官学一体となった人材育成

    “コロナ前”である2018年度は、沖縄を訪れた方が1000万人を超え、そのうちの約300万人が海外からの観光客でした。国内外の観光客が満足する質の高いサービスを提供できる人材を育成・確保することは、国際観光地としての沖縄の評価を高めます。
    このため、観光客の皆様に直接対応する観光産業従事者等の対応力向上を図るとともに、持続的な観光振興を担う高度な経営人材の育成、多様化・高度化する観光客のニーズに対応できる人材の育成・確保について、産学官の連携強化の取り組みが求められております。

    沖縄県が策定した「第6次沖縄県観光振興基本計画」では、人材育成・確保は重要な課題として位置づけられており、多彩で質の高いサービスを提供できる観光人材の育成・確保に向けて取り組むほか、観光産業の重要性を県民に分かりやすく周知しながら、沖縄観光の魅力や働きがいを知ってもらうことで、より多くの方々に観光産業に従事していただきたいと考えています。

    また、観光産業従事者の社会的な地位や仕事のやりがい等の向上に向けたキャリアデザインの形成を支援するなど、雇用環境の改善に向けた取り組みを推進しております。

    県内大学も多彩な人材育成

    県内の教育機関においても同様に多彩な取り組みを行っています。
    琉球大学は2005年度に法文学部観光学科(当時)を設立。国立大学法人としては全国初の観光学を専門とする学科で、学部改組を経た現在は、国際地域創造学部観光地域デザインプログラムで観光ビジネス、観光政策、自然・文化資源のマネジメント、地域開発などを学ぶことができます。

    名桜大学は「観光産業の振興をリードするスペシャリストの育成が急務」として、国際学群観光産業専攻を設置しており、沖縄工業高等専門学校では2023年度から、デジタル技術を習得した観光産業などのイノベーション人材育成を目的に「地域共生デザインコース」を新設するなど、その他多くの学術研究機関が今後の沖縄観光を支える人材を輩出しています。

    観光で頑張る人インタビュー
    県民のみならず観光客にとっても大切な移動手段となるバス。第一交通産業グループ沖縄地区で、最年少の女性バス運転手として活躍する内嶺彩華さん(22)に、働きがいなどお話を聞きました。同社では大型二種免許が無い方でも、免許取得支援制度等を活用しながら、しっかりとスキルアップできるようサポートしています。また、女性ドライバー増加に伴い、社内託児所の設置など、従業員の働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

    「とにかく優しく対応したい」 バス運転手・内嶺さん

    Q.バスの運転士を志した理由を教えてください。

    高校生の時にバスで通学をしており、なんとなくですが、ずっと『楽しい』と思っていました。運転士さんによって運転の特徴があり、それを見ているのが好きだったからです。『こんなに大きな乗り物を動かせるってすごい』と、ずっと感じていました。バス好きが高じて、高校の先生から弊社を紹介してもらったのが、入社したきっかけです

    Q.運転士になるまでに、大変だったことはありますか。

    バスの運転に必要な大型二種免許を取るまで、(今年5月改正前の法律では)普通自動車免許を取得してから3年間が必要だったため、その間は事務職として働いていました。特に繁忙期の社員の給与計算が膨大で、忙しさのあまりくじけそうになる時もありましたが、バスを目にする度に『乗りたいな』という気持ちを持ち続けていました。

    Q.初めてバスの運転士としてハンドルを握った時はどんな気持ちでしたか?

    本当に口から心臓が出るのではないかと思うぐらい緊張しました。やはり責任が重大ですから。運転するバスや路線は毎日違いますが、観光客や地元のお客様から『ありがとう』や『おはよう』と声をかけてもらえると嬉しいですね。営業所には何十台もバスがありますけど、その中でも1台1台乗り心地の違うバスに乗れることや、毎日たくさんのお客様に出会えることができることに楽しさを感じています。

    Q.バスは、観光客のみなさんにとっても重要な交通手段ですよね。

    観光スポットを通る路線などでは、外国の方にもご利用頂いています。言葉が通じない分、どのような対応をしたら良いのかまだ模索している中ではありますが、とにかく優しく対応するよう心掛けています。お互いに意思が伝わるよう、さまざまなコミュニケーションを取っていきたいです。

    Q.沖縄観光での移動にバスを使ってもらう魅力はどのあたりにあるとお考えですか?

    沖縄の街並みや景色をゆっくり感じてもらいたいと思っています。例えば国際通りを通るバスは、お店だけでなくて楽しそうに歩いている人を見ているだけで、こちらも楽しい気分になると思います。私自身、運転士として、お客様がいつの間にか車内で眠ってしまうほどに安心安全な運転を心がけていきたいと思います。

    観光で頑張る人インタビュー
    沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合は、ホテル業で働く魅力を知ってもらおうと、学生向けの紹介誌を毎年発行しているだけでなく、令和3年度には幼児向けにも、おもてなしをする楽しさをファンタジーな世界観でやさしく紹介する絵本「よろこびのき」を制作・発行して、県内すべての保育園・幼稚園に3000冊を配布しました。
    同組合の銘苅直子事務局長に話を伺いました。

    ホテルの仕事で絵本制作
    沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合 銘苅事務局長

    Q.幼児向けにも、ホテル業で働く魅力を発信されている意義を教えてください。

    幼少期に楽しいと思った記憶は、みなさんいつまでも残っているかと思います。子どもたちはお気に入りの絵本を、何度も何度もボロボロになるまで読み返していますよね。この絵本から得られる幸せな感じがお子様の心に響いて、ホテルの仕事をやってみたいなと思ってくれたら嬉しいです。

    Q.学校や学生向けの取り組みを教えてください。

    2016年度から、高校や大学、専門学校向けにホテルの仕事内容の紹介誌を発行しています。観光産業は慢性的な人手不足と言われており、業界から積極的にお仕事に関する情報提供を進めることで、観光産業で働くことをイメージしやすくしてもらおうという思いから始まりました。その他の取り組みとしては、学生のキャリア形成に役立つよう、学校での職業人講話なども行っています。ホテルの仕事をより身近に感じてもらえるように、その地域のホテルスタッフが自社の制服を着て学生の方々へ現場からの生の声を届けています。

    Q.人材の確保や育成に関して、意識されていることはありますか。

    組合に入っているホテルは、家族経営の小さなホテルから、外資系の大きなホテルまであります。各ホテルの客層やターゲットはさまざまなので、就職時のミスマッチを防止する観点からも、そのホテルに合う人材をしっかり探して、雇用者とホテルの双方にとって良い状況を作っていくことを意識しています。

    Q.ホテル業界で働くことはどのような自己成長につながると思いますか。

    ホテルで働くと、礼儀作法やマナー、丁寧な所作が自然と身についていきます。和食レストランですと着物が自分で着られるようにもなります。そのようなことを業務の中で学び、自己成長ができることも、ホテル業で働く魅力の一つです。そういった自己成長が実現できるような職種であるということが県民のみなさんにも伝わるよう、今後も様々な取り組みを通して人材育成に励んでいきたいと思います。

    ホテルのしごと2022はこちら!
    https://www.hotelno-shigoto.com/
    デジタル絵本「よろこびの木」はこちらから視聴できます!
    https://www.youtube.com/watch?v=ZUVWV4dfdzg