Vol 01 prologue

    世界から選ばれる持続可能な観光地

    沖縄観光みらい新聞って?

    2020年から続くコロナ禍で観光客数が大きく減少してしまった沖縄。しかし、今夏には多くの観光客の方々が来県するなど、沖縄観光においても、コロナから回復する明るい兆しがはっきりと見えてきました。この「沖縄観光みらい新聞」では、さまざまな観光関連産業で働く人へのインタビューなどを通して、現場から感じる“沖縄観光の未来”に光を当てていきたいと思います!今後の連載もお見逃しなく!

    明るい未来【世界から選ばれる持続可能な観光地】へと展開する沖縄観光

    沖縄県の入域観光客数は、統計を取り始めた昭和47年度(1972年度)の約56万人から平成30年度(2018年度)には1000万人を突破し、順調にその数を伸ばしてきました。
    このような中、沖縄観光は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、沖縄県が今年度策定した「第6次沖縄県観光振興基本計画」では今後10年間で、年間の観光収入の目標を1.2兆円に設定しています。これは、これまでで観光収入がピークだった平成30年度(2018年度)の約7340億円と比較しても1.6倍以上となります。

    第6次沖縄県観光振興基本計画観光収入目標

    それらの実現に向けて目指すべきビジョンとして、沖縄県は「世界から選ばれる持続可能な観光地」を沖縄観光の達成イメージ(GOALs)に掲げています。
     世界自然遺産に登録された「沖縄島北部及び西表島」などの豊かな自然環境や、首里城をはじめとする「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界文化遺産、琉球料理、泡盛、空手、組踊など独自の歴史文化を楽しむために、世界中・日本中からの旅行者が沖縄を行き先として選んでくれる未来。そしてそんな沖縄の自然や文化をいつまでも次世代に引き継いでいき、ずっとずっと観光客でにぎわう未来。

    このような未来像を描きながら、沖縄の観光産業が成長・維持していくためにも、沖縄の自然、歴史、文化を尊重していくことが大切です。そうすることによって、地域での文化継承や生活の質向上といった“社会的側面”、自然の保全・再生といった“環境的側面”での発展につながるだけでなく、旅行者にとって「美しい自然と温かい人々に囲まれて本来の自分を取り戻せる島」としての存在感を発揮し続けることで、持続可能な観光産業として“経済的側面”からの発展も実現していきます。

    「社会」「環境」「経済」の3側面がうまく調和した観光立県・沖縄を目指すためにも「沖縄観光みらい新聞」では、沖縄観光の魅力やチカラを続々と発信していきます。

    沖縄県のリーディング産業である観光産業は、県民の雇用や暮らしを支えるとともに沖縄経済における重要な推進力です。観光客がたくさん来てくれることで、さまざまな分野にも波及効果があります。例えば、バスやタクシーなどの交通機関のお客さんが増え、沖縄の食の名産であるマンゴーやパイン、アグーや海ブドウなどの消費が増えることで農林水産業や小売業なども潤うでしょう。
    一次産業 二次産業
    沖縄県が今年3月に発表した調査報告では、沖縄の観光発展に対して「期待する」とした沖縄県民が73.1%を占めており、観光立県としてこれからも輝くことが望まれています。

    沖縄観光が元気を取り戻していることは、観光業界で働くみなさんも肌で感じているようです。恩納村のホテル「ベストウェスタン沖縄恩納ビーチ」のケニー金子総支配人と、レストランを取り仕切る料理人・上地竜太さんのお二人に聞いてみました。

    ケニーさん「日本の観光は沖縄が牽引」

    Q.沖縄への観光客が回復の兆しが見え始めました。ついに観光客が本格的に戻ってきたという感じですね。

    外国人観光客の入国要件緩和も始まりましたし、すごく将来が明るいです。もともと沖縄は観光地としての魅力が高いです。全国のどこを探しても沖縄以上に美しい自然があるところはないと言っても過言ではありません。外国人が行きたい国として日本の人気はとても高いです。そういった中で、沖縄からは本島北部と西表島が世界自然遺産に登録されているので、これまでコロナ禍で旅行できなかった人たちにもどんどん来てもらえるようになりました。日本の観光は沖縄が牽引していけるように頑張っていきたいと思っています

    Q.ホテル業界で働き始めたきっかけは何ですか?

    ワシントンD.C.では旅行関係の仕事を、ニューヨークではコンサルティングの仕事をしていました。その後、新しい環境を求めて移り住んだ中国で、英語と日本語を活かして働くことができる仕事は何かと考えた時に、お客様に喜んでいただけることの多いホテル業を選びました

    Q.それ以来12年間、ホテル業界でご活躍されていますが、その一番の原動力とはなんですか?

    やはり人の笑顔が好きだからです。笑顔や感動は誰にとっても必要なことです。そういう意味で、お客さんだけではなくてスタッフも元気にしたいという気持ちがあります。小規模のホテルなのでスタッフはみんな家族というような感覚があります

    Q.やはりスタッフさんの働きやすさにも気を配っているんですね。

    働きやすさという点では、細かいことですけど、例えばスタッフさんが家から水筒を持ってきて仕事をしているようであれば、会社側でしっかりと飲み物を用意してあげるとか。やっぱり『家族』として接したら、一生懸命汗流しながら仕事をしている時に水1本渡してあげる、というのは当たり前の行為だと思うんですよね

    Q.人材育成の展望などがあれば教えてください。

    沖縄で働いている沖縄の人が、『沖縄って素晴らしいところだよ』とさらに自信を持てる環境を整えたいです。長期的に見た時に、賃金水準も含めて東京と肩を並べられるようにできればと考えています。沖縄と東京で場所が変わったからといって、仕事の内容や価値に差がある訳ではないと思っています

    Q.沖縄で観光業に携わることの魅力はなんですか?

    お客さんに沖縄の魅力を伝えられるということです。ガイドブックには載っていないような、地元に住む人だからこそ知っている美味しい食べ物や素敵な場所を紹介できることが嬉しいです。沖縄が好き、人が好き、という人に向いているお仕事だと思います

    上地さん「ホテルはいろんな挑戦の場としてオススメ」

    Q.現在のホテルで働き出したのはいつ頃ですか?

    約2年前からです。料理の仕事は居酒屋やホテルで12年以上経験しています

    Q.コロナ禍で観光客が減っている中でも、一貫してホテルのレストランでのお仕事を続けていますね。

    コロナ禍の最中でしたが、観光客が減っていて比較的忙しくない時期だからこそ、メニューを一新するなど挑戦ができる機会だと前向きに捉えていました。観光客が戻ってくるとずっと考えていたので、その時に向けてできる行動を重ねてきました。これまでとは違う県産ブランド豚を取り入れたり、県産和牛の希少部位を使用したり。幅広い食材を扱ってメニューを考案できることが、ホテルのレストランで働く魅力の一つです。料理する側としては楽しいです

    Q.今はどんな新メニューを構想しているんですか?

    新しくケーキを作りたいです。恩納村特産のピンクのドラゴンフルーツを使いたいですね。ピンクのものは特に甘いですし、色もきれいです

    Q.お仕事のやりがいを教えてください。

    比較的小規模のホテルで働くことが初めてだったのですが、大規模・中規模のホテルとはまた違う楽しさを感じています。料理を作る立場でも、時折ホールに出てゲストの方と会話ができたり、臨機応変にメニューを変更できたりするのは、ならではの魅力です

    Q.ホテルで働くことについてのオススメポイントは何ですか?

    ホテル業界には料理、フロント、ハウスキーピングなどたくさんの職種があるため、さまざまな経験を積むことができます。自分に合った仕事の分野を見つけてキャリアを積むことも可能です。いろんなことにチャレンジできる場としてオススメです

    Q.1年前と今とでは、ホテルへの客足も変わってきていますか?

    そうですね。ことしのゴールデン・ウィークが明けてからは、コロナ禍に比べて予約のキャンセルがほとんど出ていません。客足がどんどん戻ってきていることを実感しています。観光業はこれからも伸びていくはずです

    実際に「おきなわ彩発見」を利用して沖縄県内の観光をした人はどう楽しんだのでしょうか。那覇市に住む会社員で1児の母・平良香織さんに聞いてみました。

    おきなわ彩発見活用で「知らなかった沖縄」を

    Q.おきなわ彩発見をどのようにして利用しましたか?

    仕事の連休が取れたので、おきなわ彩発見を利用しながら家族3人で石垣島のリゾートホテルに行きました。川平湾のグラスボートに乗って、クマノミやウミガメ、サンゴ礁のきれいな姿が見られて、今まで知らなかった海中の美しさや生き物の営みに気付くことができました。マクブ、タマン、イラブチャーといった美味しい魚たちも泳いでいて、釣りが趣味の私にはたまりませんでした。釣りの時に海中を見ることはないので『魚って海中ではこんな感じなんだ』という再発見がありました。次回からの釣りに、今回得た魚の知識を生かそうと思います

    Q.おきなわ彩発見をきっかけに、沖縄で新しい経験はありましたか?

    おきなわ彩発見の地域クーポンでディナークルーズにも参加しました。普段はなかなか見られることの少ない海側からの景色を見て、沖縄のさまざまな顔を改めて知ることができました

    Q.今後、どんな沖縄を“再発見”したいですか?

    琉球ガラス作りなど沖縄の伝統工芸にもチャレンジしてみたいです。今回のおきなわ彩発見では沖縄の自然に触れることができたので、次回は沖縄の文化にも触れて、まだ知らない沖縄を再発見したいと思っています