人と人との繋がりこそ観光産業の発展につながる。

Profile
一般社団法人北中城村観光協会  禰覇 音(ネハ オト)さん 35歳

一般社団法人北中城村観光協会は、平和と文化、健康長寿に価値をおく人々と、昔ながらの沖縄の風景や豊かな緑が美しい「ウェルネスな村」である北中城村のPRを通じて、地域の発展と職員の幸せを理念に掲げる観光団体である。
長崎県出身の禰覇さん。旦那さんが沖縄出身ということもあり、結婚を機に沖縄に移住。移住後沖縄の人の暖かさや距離感に魅力を実感。現在は北中城村観光協会に勤めており、ウェブとウェルネスを担当。地域の結びつきや絆の深さなど、北中城村ならではの魅力を発信している。

Q.北中城村の地域の魅力についてお聞かせください。
#01

沖縄観光は通常、青い空や美しい海、国際通りにアメリカンビレッジなど華やかな風景を想像しますが、北中城村は目立つ観光スポットは少ないかもしれません。しかし、この地域で感じる人々の温かさは他の地域と比べても魅力的です。最近、村内の居酒屋が10周年を迎え、地域の人々が集まり、青年会が演舞を披露し、観光客も含めて楽しいひとときを共有しました。このような地域の結びつきやコミュニティの強さは心温まるものであり、北中城村は本当に魅力的なエリアだと感じます。

Q.禰覇さんのお仕事内容についてお伺いします。
#02

北中城村の魅力は他の地域にはない、深い観光体験にあります。私の仕事は、HP運営やサイト分析、新しい特設サイトの制作や取材などですが、ただ制作するのではなく、「北中城村へいかに足を運んでもらえるか」を考えながら制作に取り組んでいます。また、ウェルネスに焦点を当て、長寿につながる面白い発見や地域の人々の結びつきに関する情報を発信することも大切な役割です。通常、沖縄観光は有名な場所に訪れることが一般的ですが、北中城村は深い観光体験を提供し、独自の魅力を伝えていきたいと考えています。

Q.職員のウェルネス(幸せと健康)こそ、地域の発展であるという考え方はとても魅力を感じます。
#03

私もそこは大きな魅力の一つと思います。多様性が重要視される昨今、働き方も多様な選択が増えてきています。特に組織自体が現場に目を向け、柔軟な対応を実現したり仕組み化するのは、重要なことでありながらチャレンジでもあるので、北中城村観光協会が掲げるこのミッションには、大いに感銘を受けました。
私は現在子育て中であり、子どもの送り迎えや急な看病など、就業時間中に起こる急なイレギュラーに対応する場面などがあります。しかし、幸いなことに北中城村観光協会は、そうした予期せぬ事態にも柔軟に対応できる体制を整えているので、働く母親としてはとても助かっています。
そして何よりも、北中城村観光協会のメンバーは素晴らしい方々ばかりです。彼らの温かさと優しさに囲まれながら働けることは、楽しい時間であり幸せな時間でもあります。
沖縄に来て感じるのは、人と人との絆や地域と人との繋がりが年齢関係なくとても大切にされているということ。北中城村観光協会の一員として、その繋がりの中働けることを誇りに思います。

Q.地域の観光資源の魅力や、それを活用した観光コンテンツなど、特に反響の大きかったものを教えてください。
#04

特に注目だったのは、農業体験の商品化プロジェクトです。
村内の農家さんは、リクエストに応じてその都度農業体験を開催していましたが、体験自体を商品化までは踏み込んでいませんでした。農業体験は特産品PRの役割を果たすだけでなく、地域の暮らしや考え方に触れる機会でもあり、収穫や土づくりなど季節による体験要素が詰まっているため、魅力に溢れています。また、農家さんの収益向上にも寄与でき、観光協会との連携により農家さんの体験受け入れへの負担軽減にも期待できます。
当初は農家さんや地元の住民から「需要はあるのか?」という不安の声もありましたが、一般の参加者や観光客からの声、さらにアンケート調査の結果により、農業体験への満足度は高く、地域のウェルネスコンセプトとも調和していることが明らかでしたので、商品化の提案を行いました。
現在は、農家さんの協力を得て商品化への方向で進めており、今年度は村のウェルネス事業の一環で有料イベントも実施。予想を上回る応募があり、定員30名に対して応募が殺到するほどの反響にはビックリでした。農家さんたちも非常に喜んでおり、新たな提案が具体化されて成果を上げていく姿勢に、私たちも大きな喜びを感じています。

Q.北中城観光協会で、自身をどう成長させていきたいでしょうか?
#05

私自身が観光業界に初めて足を踏み入れた際、求人内容は非常に魅力的でしたが、私のような経験のない人間が適任なのかという不安は正直大きかったです。しかしながら、実際に職に就いてみると、担当がウェブ関連であることが分かり、ウェブに関する経験がまったくないことを伝えると、事務局長からは「ウェブのスキルを持つ人は多くいますが、別にここで学べば問題ないですよ」という支えになる言葉をいただきました。とても心強かったです。大切なのは、できるかできないかよりも、新たなスキルを身につける意欲を持ち、前向きな姿勢で努力することだと信じています。

Q.読者にメッセージをください。
#06

若い頃は些細な不安が大きく見えたり、言葉に表せない焦りを感じることがあります。私もそうでしたし、多くの人々がそれを克服していく道を歩んでいます。できないことをネガティブにとらえるのではなく、現在できることを強みとして活かすことを常に心に留めることで、ポジティブな方向に進んでいくと私は考えます。これを読んでいる皆さんも、必ず魅力的な特質をお持ちのはずです。まずはどんなことでもポジティブに強みとして捉えてみることをおすすめします。